地域観光プランニング研究班では、沖縄県最北端の国頭村をフィールドに、「健康」と「観光」を組み合わせたウェルネスツーリズムの観光プランづくりに取り組んでいます。

国頭村は「やんばる」と呼ばれる豊かな自然が広がる地域で、琉球王国との関わりが深く、歴史的価値も高い場所です。そこで、運動と食事の両面から健康を体験できるプログラムを提供し、参加者の健康意識や行動に変化をもたらすことを目的に研究を進めています。

プロジェクト概要

プログラム責任者永野 聡(立命館大学産業社会学部・教授)
ターゲット30代の未病患者
内容ウェルネスツーリズムを用いた行動変容の研究
目的・ゴールウェルネスツーリズムの知見に基づき、メタボリックシンドロームの未病患者の行動変容を促し、行動変容ステージモデルの「実行期」まで進めること
協力a

本研究室の担当研究者

なぜ今、私たちはこのテーマに取り組むのか? –What We Do

沖縄県はかつて「長寿の地域」として知られ、世界5大長寿地域である「ブルーゾーン」の一つにも数えられていました。
しかし現在では、アルコール摂取量の多さや平均歩数の少なさなど、健康から遠ざかる生活習慣が定着しています。その結果、肥満率は全国平均を大きく上回り、生活習慣病による死亡も深刻な社会問題となっています。
私たちは「健康」に焦点を当てた観光プランを通じて、一人ひとりの生活習慣を見直すきっかけとなり、行動変容を促すことを目指しています。

私たちが描く未来 –Why It Matters

沖縄県中南部から国頭村へ足を運んでもらい、私たちが考案した観光プランを実際に体験してもらうことで、参加者の健康意識や生活習慣の変化を促すことを目指しています。中南部は都市部特有の運動不足や、アメリカの影響を受けた不健康な食生活が課題となっています。国頭村で健康的な活動を体験してもらい、その経験を日常生活にも取り入れてもらうことを狙いとしています。

私たちのアプローチ –How We Work

私たちは、行動変容を促すことを目的に、2回にわたって現地で観光プランを体験していただき、その前後および実験期間中にセルフモニタリングを実施します。観光プランの作成にあたっては、徹底した現地調査を行い、医療機関や行政、地域住民の方々と密に連携しながら内容を検討していきます。なお、2024年度までは志摩市民病院と連携し、活動を行ってきました。

これまでの活動と成果 –What We've Done

昨年度までは三重県志摩市をフィールドにウェルネスツーリズムの活動を実施。志摩市民病院とも連携しアンケート調査やバイタルチェック等から行動変容を図った。サイクリングやウォーキング、シーカヤックなどのアクティビティを活用しプランを作成してきた。

これからの挑戦 –What's Next

今年度からフィールドが沖縄県国頭村に変わりました。沖縄県は生活習慣病患者数が全国で最も多く、加えて低賃金や離婚率の高さなど、深刻な社会課題を抱えています。一方で、観光地として高い知名度を持ち、豊かな自然や文化といった資源にも恵まれています。このような特徴を持つ地域で活動できる機会は非常に貴重であり、社会課題と地域資源の両面からアプローチできる可能性があります。現在、プランの具体的な内容や関係者との連携は構築段階にあり、研究の方向性を幅広く模索できる状況です。今後はこのプロジェクトをより大きく発展させ、地域に貢献できる取り組みに育てていきたいと考えています。

文責:地域観光プランニング研究班7期生